2005 年 48 巻 Supplement1 号 p. A23-A27
症例は35歳, 女性. 2003年 (平成15年) 6月11日, 37.3℃の発熱と全身〓怠感が出現し, 近医を受診. 翌日には解熱したが, その後も全身〓怠感は持続し, 6月14日朝食後より悪心・嘔吐, 午後からは強い口渇感・多飲・多尿が出現した. 翌15日近医を受診したところ, 高血糖 (905mg/dl ) とケトーシスを指摘され, 緊急入院. 直ちにインスリン療法が開始されたが, 血糖コントロール不良のため, 6月19日当科へ転院した. 高血糖にもかかわらずHbA1c 6.0%と低値, 食後血中CPR 0.3ng/ml と低下, 膵島関連自己抗体陰性であったことから, 劇症1型糖尿病と診断した. 来院時の血清コクサッキーB3ウイルス中和抗体価は, 512倍と高値であった. 劇症1型糖尿病の発症機序については, 未だ不明であり, 発症に同ウイルスが関与している可能性が示唆された貴重な症例と考えられたので報告する.