2005 年 48 巻 Supplement1 号 p. A53-A57
劇症1型糖尿病の病態を解明するために当院および関連施設で経験した劇症1型糖尿病の4症例を年齢, 性別, 妊娠の有無, 初発症状から診断までの日数, HbA1c, 膵島自己抗体, HLAについて比較した. 女性3例, 男性1例で, 年齢は29歳~69歳であった. 症例1のみ妊娠が関与していた. 初発症状から診断は最短で2日, 最長で5日, 短期なほどHbA1c値は低値であった. 症例1のみICA陰性, ICSA陽性であったが, 他の症例はすべて抗GAD抗体, ICA, IAAは陰性であった. HLA遺伝子型は, 検索した3例すべてに1型糖尿病感受性haplotypeであるDRB1*0405-DQB1*0401を認めた. 症例3, 4に先行する上気道炎が認められた. 以上の結果より劇症1型糖尿病において性別, 幅広い年齢層, 妊娠, ウイルス感染, 自己免疫の関与など発症要因の多様性とHLA DRB1*0405-DQB1*0401 haplotypeの重要性が示唆された.