2006 年 49 巻 2 号 p. 127-131
喫煙の空腹時血糖におよぼす影響は肥満度の違いによって異なるかどうかを,職域健診受診男性7,320名で検討した.空腹時血糖が126 mg/dl以上の率(DM率)は,非喫煙者が5.2%, 過去喫煙者6.2%, 少量喫煙者(1~19本/日)4.2%, 中等量喫煙者(20~39本/日)5.5%, 多量喫煙者(40本以上/日)10.3%であり,非喫煙者と比較し多量喫煙者は有意に高率であった.多変量ロジスティック回帰分析により年齢,肥満度,飲酒量で調整して各喫煙状態でのDM率を比較したところ,多量喫煙者は非喫煙者の1.78倍と有意に高率であった.肥満度別にDM率を検討すると,body mass index (BMI)が25以上の群では多量喫煙者は非喫煙者の2.34倍と有意に高率であったが,BMIが23未満の群では0.97倍,BMIが23~24.9の群では1.89倍と喫煙の有意の影響が認められなかった.多量喫煙者に糖尿病者が多かったが,この喫煙の影響は肥満度によって異なることが示唆された.