2006 年 49 巻 2 号 p. 133-137
症例は63歳男性.2002年12月,右上下肢の痺れを主訴に受診した際に脳梗塞と診断され,同時に高血糖,慢性B型肝炎,多発性肝腫瘤を指摘された.2003年1月,多発性肝細胞癌に対し肝動脈塞栓術を施行した.退院後の2月26日より発熱,腹痛,トランスアミナーゼ上昇があり,3月3日に再入院となった.
入院時の腹部CTで肝右葉にガス像を伴う低吸収域を認めたため,ガス産生性肝膿瘍と診断した.膿汁と血液培養からCitrobacter freundiiが同定され,抗菌薬経静脈投与とエコーガイド下膿瘍ドレナージにて一時改善傾向を認めたものの,発熱,膿汁排出が持続するため,6月6日肝動脈内にカテーテルを留置し抗菌薬動注療法を開始した.1カ月後には膿瘍は縮小,CRPも改善した.本症例のようなガス産生性肝膿瘍は糖尿病合併例が多く,その関連が重視されており報告する.