2006 年 49 巻 4 号 p. 279-285
58歳,男性.他院にて35歳で2型糖尿病を指摘され,食事療法,運動療法に加え経口血糖降下剤が処方されていた.2000年より血糖コントロール不良のため同院にてインスリン治療(ペンフィル®30R)が導入された.インスリン開始約1週間後より注射部位に掻痒を伴う発赤を自覚していたが軽微なため放置.2003年5月頃より同症状が悪化したため精査加療目的に当院紹介された.インスリンの局所アレルギー反応が疑われたため,入院後は1日1回の超速効型インスリンアナログ製剤を昼食直前に追加して皮膚の反応を観察した.開始後,約1週間で注射部位に同様の症状が出現したため中止した.インスリン製剤とその溶媒のみの皮内テストでは,ヒトインスリンとインスリンアナログのみが陽性を示した.本症例はヒトインスリンおよびインスリンアナログに対して局所の即時型アレルギーが存在すると考えられた.