糖尿病
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症例報告
高齢のため典型的な高血糖症状を示さずに突然,ケトアシドーシス性糖尿病昏睡で発症した劇症1型糖尿病の1例
山本 純子川野 貴弘槇野 香奈子山下 和邦京田 有輔丸山 直樹前川 勝英酢谷 俊夫西浦 公章
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2006 年 49 巻 5 号 p. 333-336

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抄録

症例は81歳,男性.2003年3月20日頃から食欲不振が出現し,3月23日に意識障害が認められたので当科に入院した.入院時の尿ケトン体は陽性で,血糖値は875 mg/dlであり,動脈血ガス分析では代謝性アシドーシスであった.糖尿病性ケトアシドーシスと診断してインスリン治療を開始し,症状は軽快した.第9病日のHbA1Cは8.7%の上昇にとどまっており,インスリン分泌能は枯渇していた.膵島関連抗体は陰性であった.なお,これまでに糖尿病を指摘されたことはなかった.以上から本例は劇症1型糖尿病であると考えられた.本邦で報告されている劇症1型糖尿病の最高齢は87歳であり,本例は検索した範囲では本邦で2番目の高齢であった.劇症1型糖尿病は初発症状が口渇,多尿,体重減少などの糖尿病の典型症状ではなく,全身倦怠感や上気道炎症状が主な症状であることがあり,発症予測が困難な症例も報告されている.本例も高齢者が日常の生活で比較的よく訴える食欲不振が初発症状であり,今後,診療にあたるうえで本症の存在を認識する必要があると考えられた.

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© 2006 一般社団法人 日本糖尿病学会
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