糖尿病
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症例報告
アルコール性ケトアシドーシスを合併した2型糖尿病の1例
寺井 秀樹廣井 直樹金子 幸代比嘉 眞理子
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2006 年 49 巻 5 号 p. 343-348

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抄録

症例は糖尿病性昏睡の既往のある大量飲酒家の64歳の男性.アルコール摂取量の増加に引き続く,アルコール摂取の急激な減少と食事量の減少がみられた.その後出現した意識障害と間代性痙攣を主訴に受診.既往歴から当初糖尿病性ケトアシドーシスを疑ったが,補液とわずかなインスリン投与のみにて重炭酸塩の投与なく速やかにアシドーシスは補正されたこと,血糖やHbA1C, 尿ケトンは軽度な増加であり,β-ヒドロキシ酪酸優位のケトン体の増加(ケトン体比: 3.88)がみられたことから,2型糖尿病に合併したアルコール性ケトアシドーシス(alcoholic ketoacidosis: AKA)と診断した.AKAはアルコール常用者で栄養不良と脱水が契機となり発症する病態である.アルコール多飲によるNADの欠乏とグリコーゲンの枯渇や糖新生の抑制によるインスリン分泌低下,その結果生じるβ酸化の亢進によりケトン体が蓄積し代謝性アシドーシスが進行していくと考えられている.糖質の投与と脱水補正で速やかに軽快するが,治療の遅延や著明な代謝性アシドーシスを呈する場合死の転帰をとることが多い.アルコール大量摂取の嗜好のある糖尿病患者ではAKAを念頭に診察する必要があると思われる.

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© 2006 一般社団法人 日本糖尿病学会
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