糖尿病
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症例報告
生活習慣是正による減量でインスリン抵抗性が著明に改善し,妊娠,出産に至った多嚢胞性卵巣症候群合併糖尿病の1例
吉原 理恵染谷 泰寿横山 淳一田嶼 尚子
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2006 年 49 巻 7 号 p. 541-544

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抄録

症例は31歳の女性.22歳頃より体重増加とともに月経不順となった.25歳で結婚,29歳で多嚢胞性卵巣症候群(以下PCOS)と診断され,約2年間不妊治療を受けたが妊娠に至らなかった.31歳時に糖尿病と診断され当科受診.高度の肥満(BMI 32 kg/m2),下腿の多毛,HbA1C 6.4%,高度のインスリン抵抗性(HOMA指数5.15)および高アンドロゲン血症(テストステロン87.5 ng/dl)を認めた.食事・運動療法により治療5カ月後には肥満が改善(BMI 26.6 kg/m2)し,HbA1C 5.1%およびHOMA指数2.15と低下した.基礎体温は徐々に2相性となり周期的な排卵が得られた.14カ月後にはBMI 26.2 kg/m2となり,HbA1C 4.8%の状態で自然妊娠し,無事に出産に至った.本例は生活習慣是正による減量でインスリン抵抗性が著明に改善し妊娠,出産に至った貴重なPCOSの1例と考えられた.

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© 2006 一般社団法人 日本糖尿病学会
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