2006 年 49 巻 7 号 p. 551-554
症例は16歳女性.半年前より体重減少,口渇あり.近医でバセドウ病と診断.2005年3月18日よりチアマゾール内服開始.その後も症状改善なく当院紹介受診.採血上PG 466 mg/dl,HbA1C 11.9%,ケトアシドーシスを認め4月8日糖尿病ケトアシドーシスにて入院.抗GAD抗体5,990 U/mlと高値を示し1型糖尿病と診断.入院後徐々に顆粒球減少を認めたためチアマゾールの内服を中止し,甲状腺亜全摘を施行した.チアマゾール内服中止後,顆粒球は改善した.HLA遺伝子解析では,1型糖尿病とバセドウ病との共通の疾患感受性遺伝子を認め,さらにチアマゾールの副作用についての疾患感受性遺伝子も認めており,1型糖尿病とバセドウ病の発症および,チアマゾールの副作用にHLAクラスII分子を介した共通の自己免疫誘導機構の関与が推察された.