2006 年 49 巻 8 号 p. 659-662
症例は68歳男性.18年ほど前に糖尿病を指摘されたが食事療法のみでHbA1C 6%台前半にコントロールされていた.2003年9月上旬に下腹部痛と発熱のため他院に入院.精査するも原因不明のまま自然寛解し退院となっていた.しかし,その1カ月後より急速な体重減少と血糖値の上昇がみられたことから当院へ紹介となった.精査加療目的にて2004年1月当院へ入院となったが,身体所見,画像所見上特に異常所見は認められず,強化インスリン療法の導入により急速な体重減少が停止したことから退院とし外来にて経過観察としていた.しかし,約2カ月後に閉塞性黄疸が出現し再入院となった.特徴的な画像所見と血清γ-グロブリンおよびIgG高値を認め自己免疫性膵炎と診断した.糖尿病血糖コントロールの急激な悪化を契機に発見された自己免疫性膵炎の症例を経験したことから報告する.