糖尿病
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原著
インスリン抵抗性の簡便な指標とその限界
堺 弘治中丸 和彦宮川 克俊山口 康平
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2007 年 50 巻 10 号 p. 725-730

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抄録
空腹時血中インスリン値(F-IRI)単独,あるいは空腹時血糖値(FPG)との組み合わせがSteady state plasma glucose法(SSPG)によって測定されるインスリン抵抗性とどのように相関しているかを検討し,さらにそれらの指標の限界についても検討した.大分県立病院にてSSPGを施行した,63例の2型糖尿病患者でSSPGとF-IRIおよびF-IRI×FPG/405 (HOMA-R)はともによく相関した(vs F-IRI, r=0.286, p<0.05, vs HOMA-R, r=0.393, p<0.005). F-IRIおよびHOMA-Rはインスリンやα-グルコシダーゼ阻害薬によって糖毒性を軽減した症例において,治療前ではSSPGとF-IRIの間に相関関係を認めなかったものの,HOMA-Rとの間には相関関係を認めた(r=0.426, p<0.05). また糖毒性を軽減した後はともに相関関係を認めた(vs F-IRI, r=0.524, p<0.01, vs HOMA-R, r=0.670, p<0.001). さらにグルカゴン負荷によりインスリン分泌能を2群に分類し比較検討したところ,インスリン分泌能が保持された群ではよりよく相関したものの(vs F-IRI, ρ=0.421, p<0.05, vs HOMA-R, ρ=0.584, p<0.005), インスリン分泌が低下している群では相関関係を認めなかった.結語として,F-IRIとHOMA-Rはインスリン抵抗性の簡便な指標として有用であるが,HOMA-Rのほうがその信頼性は高く,インスリン分泌能の低下した患者では両者ともその信頼性は低くなる.
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© 2007 一般社団法人 日本糖尿病学会
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