2007 年 50 巻 10 号 p. 753-757
症例は59歳男性,周期性四肢麻痺を伴う甲状腺機能亢進症の既往がある.2005年3月より慢性C型肝炎に対してPEGインターフェロン(IFN) α-2bとリバビリン併用療法を行っていたところ,投与開始4カ月後より体重減少,多尿が出現し,空腹時血糖373 mg/dlのため入院となった.抗GAD抗体は27,000 U/mlと高値を示したが甲状腺疾患の既往があったにもかかわらず甲状腺ホルモン,甲状腺関連自己抗体には異常を認めなかった.HLA型はA24, B54, DR4, DRB1*0405, DQA1*0303, DQB1*0401であった.強化インスリン療法にて血糖コントロールを行い退院となった.現在IFN, リバビリンは中止し経過観察中であるが抗GAD抗体高値は持続している.本症例は甲状腺疾患の既往を有しIFN, リバビリン併用療法により1型糖尿病を発症したと考えられ,その発症機序について文献的考察を加え報告する.