糖尿病
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コメディカルコーナー・原著
インスリン注入器の単位設定ダイアルの回転トルクと患者の使用感についての一考察
朝倉 俊成清野 弘明
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2007 年 50 巻 10 号 p. 765-769

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抄録

医療の進歩により,高齢者の糖尿病患者にもインスリン自己注射を行うものが以前に比べて多くなってきた.幼少児や高齢者では,握力やピンチ力といった手指機能が低下していることが多い.そこで,今回はダイアルの回転トルクを機械的に測定し,あわせて患者の評価を得ることによって,ダイアルのクリック力と患者の使用感の関係を考察した.単位設定ダイアルの最大トルク測定は,トルクゲージを用いて10単位ごとに測定した.その結果,インスリン・グラルギン用ダイアル式携帯用インスリンカートリッジシステム注入器300(オプチクリック®: OPC)≒万年筆型キット製剤(ヒューマカート®キット:HMC-K)>ダイアル式携帯用インスリン注入器300(ノボペン®300: NP300)≒インスリン・グラルギン用ダイアル式携帯用インスリン注入器300(オプチペン®プロ1: OPP)>タイマー式携帯用インスリン注入器(イノレット®: INO)≒ペン型プレフィルド製剤(フレックスペン®: FLX)>万年筆型注入器(ヒューマペン®エルゴ:HMP-ERG)≒万年筆型インスリン注入器(ヒューマペン®ラグジュラ:HMP-LUX)の順にトルクが大きく,OPPとOPCは最大設定単位数までのトルクにばらつきがみられた.臨床評価は,インスリン注入器を使用したことのない糖尿病患者60名を対象に実施した.その結果,最終的にクリック力が良いと評価した患者数は,HMP-LUXは8名(13.3%), FLXは39名(65.0%), NP300は12名(20.0%), OPCは1名(1.7%)とFLXが最も多く,患者使用感の評価が高いトルクは0.1∼0.3 kgf·cmであることがわかった.

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© 2007 一般社団法人 日本糖尿病学会
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