2007 年 50 巻 12 号 p. 883-886
受診中断を防ぐことは糖尿病診療の重要な課題である.受診調査としてコホート857名を形成し,約1.5年後の通院継続者788名と中断者69名において,臨床的特徴,およびアンケート調査による意識を見た.アンケート回答率は80.2% (687名)だった.中断群は継続群と比較し,回答率が低く(36.2% vs. 84.0%), 罹病期間が長く(9.7年vs. 8.9年),食事療法のみが多く(32.0% vs. 12.0%), HbA1cが高く(7.0% vs. 6.8%), 顕性腎症が多かった(16.7% vs. 6.5%). さらにアンケート回答では時間的多忙感(36.0% vs. 17.2%), 交通の便の悪さ(16.0% vs. 5.9%), 家族の協力がない(12.0% vs. 3.9%), 医療従事者への不満(8.0% vs. 1.2%)に有意差を認めた.これらへの対処対応は中断を防ぐ一助と考えられる.