糖尿病
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原著
厳格な血圧管理による顕性糖尿病性腎症における尿蛋白量の減少効果
小寺 隆元江藤 隆八田 弓子中野 逸郎武田 一人名取 省一
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2007 年 50 巻 3 号 p. 191-196

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抄録

顕性糖尿病性腎症(病期分類第3∼4期)を合併した,外来通院中の2型糖尿病患者20例を対象として,厳格な血圧管理による尿蛋白量の減少効果を検討した.介入前と比べて6カ月後の介入後では平均収縮期血圧166.7±20.0 mmHgから119.9±14.2 mmHg (mean±SD) (p<0.01), 平均拡張期血圧79.3±10.2 mmHgから65.2±15.1 mmHg (mean±SD) (p<0.01)と有意差をもって低下した.介入前後の降圧薬の数は平均2.1種類から4.9種類に増量されており,尿蛋白・尿クレアチニン比(以下U-TP/Ucr)は介入前2.72±2.20 g/gCrが介入後1.20±1.36 g/gCr (p<0.01)と有意差をもって減少し,血圧の低下度とU-TP/Ucrの減少度に有意の相関を認めた.一方,HbA1cの低下度とU-TP/Ucrの減少度には相関を認めなかった.以上の結果から,顕性糖尿病性腎症における厳格な血圧管理は,U-TP/Ucrを指標とした尿蛋白量を著明に減少させると考えられた.

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© 2007 一般社団法人 日本糖尿病学会
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