糖質計算の有用性評価を目的とし,超速効型インスリン製剤使用の1型糖尿病患者12名および健常者15名に負荷試験を行った.糖質量を一定(75 g)とした複合炭水化物のみからなる基準食,基準食の複合炭水化物15 gを砂糖に置換した一部砂糖食,基準食にバター25 gを付加した脂質付加食の3種類の食事を摂取させ,空腹時,食後30, 60, 120, 180分に採血を行った.食後の血糖変動を空腹時からの変化率で比較すると,健常者では試験食の種類の違いによる血糖変動に差はみられなかった.1型糖尿病患者では一部砂糖食の血糖変化率の変化量曲線下面積は,基準食に比べて低値で(p<0.05), 砂糖置換による食後高血糖は誘発されなかった.脂質付加食では食後の血糖上昇が遅延し,食後増加を続け食後180分が最高値となった.1型糖尿病患者が食後良好な血糖コントロールを得るためには糖質計算では不十分であり,糖質に加え脂質に対する配慮が必要と思われた.