2007 年 50 巻 6 号 p. 399-402
未治療糖尿病患者において気腫性腎盂腎炎を合併した1例を経験した.入院時血糖値922 mg/dl, HbA1c 15.9%であり意識障害を伴っていた.CRP 42.2 mg/dl, 白血球22,500/μlと強い炎症反応が認められ,腹部CTでは両腎盂にガス産生像を認めた.以上より糖尿病に伴う気腫性腎盂腎炎と診断し,速効型インスリンでの血糖管理と同時に抗生剤と免疫グロブリン投与による保存的療法のみで改善を認めた.血糖コントロールが不良な患者の場合,免疫機能の低下から重篤な感染症の合併が生じることがある.強い炎症反応を認める場合には,気腫性腎盂腎炎の合併に注意が必要である.自経例の紹介と文献的考案を行った.