糖尿病
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症例報告
糖尿病治療中断後,インスリン療法再開により全身浮腫および体幹部・大腿部の有痛性神経障害をきたした1型糖尿病の1例
上野 八重子藤田 麻美白藤 雄五野田 浩夫吉見 真一
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2007 年 50 巻 9 号 p. 695-701

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抄録
症例は59歳女性.53歳で糖尿病を発症し,抗GAD抗体陽性であった.インスリン療法を行い食事療法のみで治療可能となった.その後血糖コントロールが悪化してインスリンを再開したが1年2カ月間治療を中断.2004年5月両足しびれと体重減少にて来院(HbA1c 18.2%). 超速効型アスパルト1日3回注射を開始.数日後より顔面・下肢の浮腫が出現したが利尿剤で改善.6週後より背部・胸腹部・両大腿部に疼痛が生じたためメキシレチンを開始したが改善せず,同年9月激痛にて起居動作や歩行が困難となり入院.異痛症を伴った治療後有痛性神経障害(以下PPN)と診断.アスパルトは一時中止しアミトリプチリンとデキストロメトルファンを投与したところ著効.NPH1日1回より再開し緩徐にコントロールした.最近日本で体幹部PPNの報告が多いのは,速効または超速効型による急速な血糖是正や動脈硬化性疾患の増加が関与しているかもしれない.
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© 2007 一般社団法人 日本糖尿病学会
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