糖尿病
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委員会報告
妊娠糖尿病の定義,スクリーニング,診断基準に関する提言
豊田 長康杉山 隆鮫島 浩平松 祐司三田尾 賢安日 一郎和栗 雅子佐中 真由実穴澤 園子伊藤 千賀子折笠 秀樹岩本 安彦河盛 隆造
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2008 年 51 巻 10 号 p. 939-947

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抄録

妊娠糖尿病(gestational diabetes mellitus; GDM)は,各種の母体および胎児・新生児合併症(周産期合併症)を生じること,たとえ分娩後にいったん耐糖能が正常化しても将来糖尿病に進展する可能性が高いこと,また,最近では胎児期の子宮内環境や新生児期の異常が,小児期や成人期の代謝性疾患(肥満,糖尿病,高血圧等)の原因になりうることが示唆されていることから,その早期発見に努め,妊娠中から適切な治療・管理を行う必要がある.この妊娠糖尿病の定義,診断基準,スクリーニング法という基本的事項について,EBMに基づいた観点から,また,国際的な指針との整合性も考慮しつつ,わが国において共通認識を確立する必要があることから,本調査委員会は現時点における再評価を行った.その結果,学会における妊娠糖尿病に関する今後の指針策定に反映されるよう,以下の提言を行うものである.
ただし,当初,妊娠糖尿病の診断基準に関する国際的な無作為比較試験(Hyperglycemia and Adverse Pregnancy Outcome Study; HAPO Study)1)の結果は2007年の米国糖尿病学会において一部公表されたが,2008年にInternational Association of Diabetes and Pregnancy Study Groupsにおいて詳細に報告され,討議される予定である.したがって,HAPO Studyの結果が本調査研究期間中に公表されることを期待していたが,本報告書の期限までに間に合わず,残念ながら2009年度以降にずれこむ見込みである.その結果が公表された暁には,わが国の妊娠糖尿病の定義,スクリーニング,診断基準について,改めて見直す作業が必要である.このような経緯から,本調査研究報告書は,現在までの主要な問題点を整理することにより,HAPO Studyの結果公表後の見直し作業をする際の参考資料としての位置づけになると考える.

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© 2008 一般社団法人 日本糖尿病学会
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