症例は41歳,男性.発熱,全身倦怠感,頻尿のため入院した.35歳時糖尿病と診断.半年後に治療中断.入院前2週間より倦怠感,頻尿を自覚していた.入院時血糖437 mg/dl, HbA1c 14.1%. 弛張熱,頻脈あり.第3病日胸部X線にて,入院時には認められなかった敗血症性肺塞栓と考えられる所見を認めた.検尿異常の精査のため,腹部・骨盤CTを行い,前立腺膿瘍と診断.インスリン治療,経皮的経会陰排膿ドレナージ,抗生剤投与にて炎症反応は徐々に改善,肺塞栓の所見も消失した.糖尿病患者では尿路感染症を合併することが多いが,本症例のように前立腺膿瘍を発症する場合があり,日常診察上注意が必要である.