糖尿病
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症例報告
黄色肉芽腫性腎盂腎炎を契機に糖尿病ケトアシドーシスを合併し急性腎不全に至った未治療糖尿病中年女性の1例
牛腸 直樹檜山 眞貴代足立 淳一郎中村 太一小林 将貴逢坂 公人大内 秀紀山田 哲夫渡辺 孝之
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2009 年 52 巻 12 号 p. 969-976

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抄録

症例は53歳,女性.来院2週間前に一過性の肉眼的血尿と倦怠感を自覚.食思不振を伴って倦怠感が持続し,経口摂取が不良となり当院を受診した.高度の炎症所見,高血糖,血中ケトン体上昇,代謝性アシドーシス,高カリウム血症を伴う急性腎不全を認め,持続血液濾過透析,抗生剤投与,インスリン静脈内持続注入を開始.尿,血液培養よりKlebsiella pneumoniaeが検出された.集中治療により全身状態は安定したが,膿尿と発熱が持続し,腹部CT検査で全体的に腫大した左腎実質にびまん性低吸収域を認め,黄色肉芽腫性腎盂腎炎が疑われた.保存的治療では根治困難と判断し,腎摘出術を行い,摘出腎の病理所見は同症に合致した.術後,膿尿,発熱は消失し,腎機能も改善し,透析を要さず退院となった.黄色肉芽腫性腎盂腎炎は比較的稀な慢性尿路感染症であり,糖尿病を背景に中年女性に好発する.これまで,本例のように急性腎不全,糖尿病ケトアシドーシスを合併した症例報告はなく,考察を加えて報告する.

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© 2009 一般社団法人 日本糖尿病学会
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