2009 年 52 巻 9 号 p. 789-792
硬膜外膿瘍(spinal epidural abscess: SEA)を呈した2例の糖尿病患者を経験した.SEAは稀な疾患だが,糖尿病に伴う易感染性は重要な危険因子である.治療法は確立されているが,重篤な後遺症を残す可能性があるため早期診断は極めて重要である.本報告例は2例とも脊椎周辺にも感染巣が波及しており,1例で肺と肩・肘,もう1例では食道に接した膿瘍を認めた.したがって,糖尿病患者で発熱を伴う背部痛をもつ症例では積極的にSEAを疑い,かつ周囲への膿瘍拡散をも念頭において検索・診断する必要があると考えられた.