糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
症例報告
持続血糖モニターで血糖変動を観察し,持続皮下インスリン注入療法からの離脱に成功したインスリン抗体陽性及びインスリンアレルギーを合併した糖尿病の1例
木下 淳森本 彩川浪 大治井坂 剛竹下 雅子内潟 安子田嶼 尚子宇都宮 一典
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 53 巻 8 号 p. 619-625

詳細
抄録

症例は72歳の男性.60歳時に糖尿病と診断され,64歳時に経口血糖降下薬を開始.69歳時にHbA1c 9.7%と増悪し,強化インスリン療法が導入され,血糖コントロールは改善した.しかし,71歳頃からHbA1c 8.6%と再び悪化し,他院入院精査でインスリン抗体陽性と即時型局所インスリンアレルギーを認めた.皮内試験で最もアレルギー反応の軽度な超速効型インスリンリスプロに変更し,Miglitol内服を併用したが血糖値は不安定で,持続皮下インスリン注入療法(continuous subcutaneous insulin infusion,以下CSII)を導入.しかし,早朝の低血糖と日中の高血糖が持続したため,持続血糖モニター(continuous glucose monitoring,以下CGM)を用いた精査加療目的で当科紹介受診・入院.CGMで詳細な血糖変動を確認しつつCSIIを中止し,インスリン総投与量を67.3単位から40単位に減量した.インスリン抗体陽性でインスリンアレルギーを合併し,CGMが治療法の構築に有効であった糖尿病を経験したので報告する.

著者関連情報
© 2010 一般社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top