糖尿病
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診断・治療(食事・運動・薬物治療)
運動を中心とした生活習慣介入によるインスリン抵抗性と耐糖能の改善:5年間の経過
伴野 祥一柳川 益美上條 隆伴野 潤一倉林 正彦
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2011 年 54 巻 10 号 p. 795-799

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抄録

大学で作成した運動プログラムに沿って,生活習慣への介入研究を行い,連続して5年間,75gOGTT等の検査を受けた44人(男11人・女33人,年齢59.2±7.1歳:46~68歳)について耐糖能の改善等について検討した.介入前,正常型27例(61%),境界型14例(32%),糖尿病型3例(7%)であったが,5年後に,それぞれ32例(73%),11例(25%),1例(2%)となり,8例(境界型6例,糖尿病型2例)の耐糖能が改善し,正常型の3例が悪化した.体重の変化はなかったが,空腹時インスリン値,HOMA-Rは,介入1年目より有意に低下し(p<0.001),5年間持続した.この低下は,介入前値の高い者程明らかであった.Insulinogenic Index(I.I.)は有意の変化はなかったが,耐糖能の改善した8例はいずれも介入前のI.I.≥0.4で,HOMA-Rは1.0以上低下していた.しかし,I.I.<0.4の境界型3例は,HOMA-Rが1以上低下しても耐糖能の改善はなかった.運動を中心とした生活習慣介入では,I.I.≥0.4でインスリン抵抗性の高い者程耐糖能改善効果が期待できる.

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© 2011 一般社団法人 日本糖尿病学会
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