糖尿病
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症例報告
著明な肥満に合併した劇症1型糖尿病の一例
伊藤 俊横田 佐和荻原 俊内藤 純行小野 嘉文高佐 顕之大塚 俊和中川 潤一
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2011 年 54 巻 11 号 p. 860-864

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抄録

肥満を伴う劇症1型糖尿病は稀であるといわれており報告例は少ない.我々は肥満の劇症1型糖尿病を経験したので報告する.症例は24歳男性.過去に糖尿病の指摘なし.2009年4月27日から食欲不振・下痢・嘔吐が出現し,下肢脱力で当科緊急入院.体重95 kg, BMI 30.3 kg/m2,血糖1661 mg/dl, HbA1c 6.5 %(以下HbA1cはJDS値で表記(糖尿病53:450-487, 2010)),pH 6.933, HCO3-2.4 mmol/l,血中ケトン体13228 μmol/lから,糖尿病性ケトアシドーシスと診断した.心電図は自然停止・出現を繰り返す187 /分の心室頻拍.リパーゼ206 IU/lと上昇し,抗GAD抗体・IA-2抗体は陰性.発症後のグルカゴン負荷試験で前後のCPR 0.10 ng/ml,尿中CPR 1.0 μg/dayとインスリン分泌能は枯渇.HLAではDR4が認められた.本症例は若年で肥満があり,インスリン抵抗性を有したと思われるが,明らかな糖尿病の既往がなく劇症1型糖尿病を発症し短時間でインスリン分泌が劇的に変化した症例と考えられた.

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© 2011 一般社団法人 日本糖尿病学会
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