糖尿病
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症例報告
糖尿病ケトアシドーシス発症を契機に一時的にBrugada型心電図を呈した1例
山口 普史三井 康裕白神 敦久関本 悦子柴田 泰伸尾崎 修治重清 俊雄
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2011 年 54 巻 11 号 p. 865-870

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抄録

症例は19歳男性.2011年1月下旬より嘔気,嘔吐が出現したため,近医を受診.輸液を受けたが嘔気持続するため2日後に再受診.随時血糖350 mg/dl, HbA1c 11.0 %(国際標準値(NGSP値))と高値のため,精査・加療で紹介された.来院時血糖606 mg/dl,血液ガスではpH7.09,尿中ケトン体強陽性であり,糖尿病ケトアシドーシス(DKA)と診断し,持続的静脈内インスリン治療を開始.来院時心電図でV2-V4にT波の増高を認め,翌日,V1でcoved型に変化し,高位肋間ではJ点の更なる上昇を認めた.心室遅延電位では2項目陽性であった.DKAの改善とともにcoved型心電図波形は消失した.中学1年と高校1年時の検診心電図では不完全右脚ブロック様波形を認めた.DKA発症を契機にBrugada型心電図波形を一時的に呈し,経時的に心電図変化を追跡できた症例を経験したため,文献的考察も加え報告する.

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© 2011 一般社団法人 日本糖尿病学会
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