糖尿病
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症例報告
膵島所見を観察しえた緩徐進行1型糖尿病の一例―過去の報告例とまとめ―
佐々木 衛東 宏一郎小澤 裕理森本 二郎鈴木 裕也丸山 太郎
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キーワード: 1型糖尿病, SPIDDM, GAD抗体
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2011 年 54 巻 3 号 p. 187-191

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抄録

症例は診断時58歳,男性.1988年,体重減少を主訴に近医を受診し糖尿病と診断された.当院に教育入院し,SU薬で良好なコントロールを得たが,1990年より血糖コントロール不良となり,1991年にインスリンを導入された.1990年の保存血清でGAD抗体が1.112(cut off値:0.02)と陽性であることが判明し,緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)と診断された.2007年にはインスリン分泌が枯渇状態となり,GAD抗体は14.9 U/mlと減少した.同年に大腸癌が発見され,手術時に患者,家族の承諾を得て膵生検を施行した.膵組織所見は,膵島面積が減少し,正常膵島はほとんど認められなかった.β細胞はほとんど消失し,明らかな膵島炎を認めず,1型糖尿病長期経過例の膵組織所見と類似していた.過去に報告されたGAD抗体陽性の膵組織所見と比較すると,高抗体価の場合には臨床的,組織学的に1型糖尿病と類似する点が多かった.

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© 2011 一般社団法人 日本糖尿病学会
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