症例は91歳男性.60歳時に2型糖尿病と診断され,78歳時にインスリン治療を開始.当院初診時,61単位のインスリンを使用していたにもかかわらず,HbA1c 10.6 %(NGSP値)と血糖コントロールは不良であった.腹部の診察でインスリン注射部位に弾性硬の腫瘤を認め,精査目的で入院した.腹部MRI検査で腫瘤はT1およびT2強調画像で低信号を示し脂肪抑制画像で信号が抑制されず,皮膚生検ではCongo-Red染色で橙染する淡好酸性無構造物質であり,インスリン注射による局所的アミロイド沈着と診断した.インスリン注射部位を変更したところインスリン必要量は著明に減少した.健常皮膚とアミロイド沈着部位にインスリンを注射し比較検討した結果,アミロイド沈着部位では健常皮膚と比べて,血中総インスリン値が著明に低値であり,インスリン吸収が著しく低下していた.局所的アミロイド沈着におけるインスリン吸収率を検討した例はなく,貴重と考え報告する.