2012 年 55 巻 3 号 p. 193-198
2型糖尿病患者708例を対象に,一年間の直接医療費として,外来医療費を算出した.外来医療費は,平均で38.8万円/年であり,年齢,糖尿病の罹病年数とともに増加した.非薬物療法群で18.7万円/年,経口薬群で30.9万円/年,インスリン群で57.5万円/年であった.細小血管症,大血管症については,合併群では非合併群に比し,外来医療費が高額であった.動脈硬化の危険因子として,高血圧症,高LDL-C血症,肥満,CKDステージ3期以降を挙げた場合,保有数の増加に伴い外来医療費も上昇した.重回帰分析では,これら4つのうち,CKDステージ3期以降と高血圧が,外来医療費の有意な説明因子であった.2型糖尿病の外来医療費には,年齢,罹病期間,治療内容や血管合併症,動脈硬化の危険因子などが関係する.加えて,eGFRの低下や動脈硬化のサロゲートマーカーが異常を示す場合は,積極的な検索による合併症予防が,将来的な医療費抑制につながる可能性がある.