2012 年 55 巻 8 号 p. 614-620
症例は47歳,男性.46歳時に視床下部髄膜腫摘出術を行い,術後汎下垂体機能低下症,中枢性尿崩症に対しホルモン補充療法を行われていた.発熱,傾眠,全身脱力を主訴に当院救急受診し,高血糖高浸透圧症候群,肺炎を認め緊急入院.入院後横紋筋融解症を併発したものの補液負荷により改善したが,第7病日に胸痛,呼吸困難を訴え,造影CTで肺塞栓と下腿深部静脈血栓を認め,直ちに抗凝固療法を開始した.横紋筋融解症と肺塞栓症は高血糖高浸透圧症候群の合併症であるが,両者の合併報告例は少ない.また本症例は視床下部症候群という特異な背景が病態に関与したものと考えられ,考察を加えて報告する.