糖尿病
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症例報告
血糖コントロール悪化が先行した後にRS3PE症候群を発症した2型糖尿病の2症例
牛腸 直樹岡田 千穂青木 絵麻平嶋 勇士田中 秀樹鈴木 奈津子大森 安恵
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2013 年 56 巻 11 号 p. 874-880

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抄録

症例1は79歳,女性.2型糖尿病内服加療中,シタグリプチンを追加.特に誘因なく血糖コントロール悪化を認めた後に上下肢浮腫,上腕筋肉痛が出現.精査の結果RS3PE症候群と診断しステロイド治療開始.浮腫は消失したが関節痛,筋肉痛は消長を繰り返し,ステロイド長期投与中.症例2は63歳,女性.2型糖尿病インスリン加療中,同様に血糖悪化後に手指のこわばり,膝関節痛,上下肢浮腫が出現.同症候群と診断しステロイド開始後,症状は速やかに消失し,ステロイド漸減も再発なく投与中止.RS3PE症候群は左右対称性の四肢末端部滑膜炎及び浮腫を特徴とする比較的新しい疾患概念である.近年糖尿病患者に,特にDPP4阻害薬と関連して同症候群を発症した報告が増加している.我々が経験した2症例はいずれも血糖コントロール悪化が先行した後に同症候群を発症したが,病像や経過に異なる点も多く,考察を加えて報告する.

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© 2013 一般社団法人 日本糖尿病学会
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