抄録
本邦での脳死下膵臓移植は2000年より開始されたが,その長期予後は十分には明らかにされていない.我々は九州大学を膵臓移植実施施設として希望した1型糖尿病65人の予後,合併症,Quality of life(QOL)について検討した.移植患者25人に死亡例はなかったが(追跡期間中央値8.0年),移植待機患者40人の5年生存率は85 %で(p=0.0004),待機中に亡くなった10人のうち半数が突然死であった.移植5年後のインスリン離脱率73 %,膵腎同時移植23人の透析離脱率92 %で,大血管障害の発症率は移植患者に少ない傾向を認めた(p=0.091).癌と骨折は待機患者と差を認めなかったが,入院を要する感染症は移植患者で有意に多かった(5年後53 % p=0.0008).グラフト機能が維持されている移植患者のQOLは良好であったが,グラフト機能が不良になるとQOLは低下した.膵臓移植は1型糖尿病患者の生命予後を著明に改善していた.