糖尿病
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症例報告
副腎皮質ステロイド誘発性糖尿病ケトアシドーシスに非閉塞性腸管虚血症を合併した2型糖尿病の1例
高井 智子武部 礼子小縣 正明勝山 栄治中村 武寛
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2013 年 56 巻 5 号 p. 298-304

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抄録

症例は59歳男性.意識障害とショック状態で搬送された.約2週間前に関節リウマチの診断でprednisolone内服が開始されていた.高血糖(1,815 mg/dl),代謝性アシドーシスが見られ糖尿病ケトアシドーシス(diabetic ketoacidosis:以下DKAと略す)と診断し同日入院,輸液,インスリン投与を行い意識障害は改善した.しかし,敗血症性ショックを合併しカテコールアミンを投与した.軽度の腹痛を伴い,CTで上行結腸の浮腫性壁肥厚を認めたが,原因は明らかではなかった.集中治療により改善傾向となっていたが,第11病日夜に強い腹痛が出現,CTで腸管穿孔による腹膜炎と診断し緊急手術を行った.回腸から盲腸に非連続的な壊死を認め,回腸穿孔による限局性腹膜炎を呈していた.病理組織では,粘膜の変性壊死が見られたが,動脈に粥状硬化や血栓はみられず,DKAに伴発した非閉塞性腸管虚血症が緩徐に進行し遅発穿孔したと考えられた.輸液により循環不全が改善できたことや適切な時期に手術を行うことにより,重篤な状態であったが救命できたと考えられた.

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© 2013 一般社団法人 日本糖尿病学会
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