糖尿病
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症例報告
α-グルコシダーゼ阻害薬内服中に,門脈ガス血症を呈したが,中止後すみやかに消退した2型糖尿病の1例
中野 優子赤澤 昭一中村 聡江當時久保 正之内田 優介中村 弘毅牛島 知之高木 浩史
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2013 年 56 巻 6 号 p. 368-373

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抄録

症例は78歳男性.平成2年に2型糖尿病を発症しメトフォルミンにて内服加療を開始した.平成21年10月頃より,HbA1cの上昇を認め,α-GI投与を開始し,1年後より,腹部膨満感,放屁,軟便と便秘を繰り返すようになった.平成23年3月に臍上部の激痛のため,当院受診した.腹部単純X線検査で大腸の拡張を,腹部CT検査で樹枝状陰影を示す門脈ガスを認めた.α-GI投与による門脈ガス血症(HPVG)と診断し,ボグリボースの内服中止・絶食とし保存的治療を行い,2日後の腹部CT検査で門脈ガスは完全に消失した.本症例ではα-GIの中止によりすみやかにHPVGは消退したが,腸管壊死を伴う場合死亡率はきわめて高率である.HPVGは,腸管粘膜に何らかの損傷があり,ガスなどの貯留などにより腸管内圧が上昇し発症すると考えられる.α-GIの副作用と類似した消化器症状が再出現し,繰り返す場合は,HPVGも念頭に置き,注意深い観察が必要である.

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© 2013 一般社団法人 日本糖尿病学会
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