糖尿病
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症例報告
バリズムを契機に糖尿病の診断に至ったKlinefelter症候群の1例
高桜 明子河野 史穂青木 桂子真田 拓金原 秀雄久田 あずさ番度 行弘
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2013 年 56 巻 9 号 p. 660-665

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抄録

症例は47歳男性.2009年6月男性不妊の精査目的に当院泌尿器科へ紹介となり,Klinefelter症候群(47XXY)と診断された.9月に左下肢の不随意運動(バリズム)が出現し,血糖値576 mg/dlと高値のため,当科へ紹介となった.HbA1c 11.8 %(以下HbA1cはNGSP値で表記(糖尿病53:450-467, 2010))であり,糖尿病と腎機能障害を認めた.腹部CTでは両腎の低形成と肝細胞癌の合併を認め,頚部MRAでは右内頚動脈,左椎骨動脈の低形成を認めた.強化インスリン療法を開始し,血糖値の改善とともにバリズムは速やかに消失した.Klinefelter症候群における糖尿病の合併は15-50 %と比較的高率である.本症例のバリズムの原因として著明な高血糖による代謝異常や血管低形成および脱水による脳虚血が考えられた.

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© 2013 一般社団法人 日本糖尿病学会
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