糖尿病
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症例報告
PRESにより繰り返す嘔吐のみを呈した2型糖尿病の1例
小河 秀郎八木 勇紀中島 敦史小橋 修平大村 寧小山 哲朗渋谷 和之山田 衆
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2014 年 57 巻 11 号 p. 820-825

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抄録

症例は58歳女性.2003年に初めて糖尿病を指摘.経口薬治療によりHbA1c 7.0 %前後で経過.2011年10月,昼食後に腹痛・頭痛・めまいなどの随伴症状なく,突然嘔吐が出現し,当院受診.頭部・腹部CT上明らかな異常認めず.制吐薬無効であり,急性胃腸炎の診断で消化器内科入院.腹部画像上異常なく,乳酸アシドーシスやケトアシドーシスなどの代謝疾患も否定的であった.第4病日に行った頭部MRIで両側後頭葉中心に血管原性浮腫を認め,画像的にPosterior reversible encephalopathy syndrome(PRES)と診断.血圧を140/90 mmHg以下に維持した所,第7病日には嘔気・嘔吐消失.第10病日の頭部MRIでPRES所見は消失し,第11病日に軽快退院.軽度高血圧を引き金に嘔吐のみを呈した糖尿病合併PRES症例の報告はなく,重要な症例と考えられた.

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© 2014 一般社団法人 日本糖尿病学会
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