糖尿病
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症例報告
低用量メトホルミン投与中に乳酸アシドーシスと衝心脚気を合併した2型糖尿病の1例
山口 普史飯間 努白神 敦久田蒔 基行関本 悦子柴田 泰伸奥村 宇信尾崎 修治重清 俊雄
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2014 年 57 巻 3 号 p. 188-196

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抄録
症例は69歳,男性.アルコール依存症で近医に入院中であった.5ヵ月前にメトホルミン500 mg/日,グリベンクラミド2.5 mg/日が開始され,5日前より嘔気,食欲不振が出現し,発熱,意識障害で搬送された.来院時ショック状態を呈し,アニオンギャップ開大の代謝性アシドーシスを認めた.心エコーで右心系の拡大を認め,造影CTを施行したが肺動脈主幹部には血栓像は認めなかった.乳酸値の上昇を認め,脚気心を疑いビタミンB1の補充を開始.後日ビタミンB1値が正常下限と判明した.抗IA-2抗体が0.7 U/mlと低力価陽性を認めたが,抗GAD抗体が陰性であり2型糖尿病と診断した.本例の乳酸アシドーシスは,メトホルミンの副作用,ビタミンB1欠乏,心原性ショックが複合的に関与したものと考えられ,メトホルミンの副作用としての消化器症状が契機となっており,メトホルミンの副作用の出現が懸念されるときは直ちに休薬する必要がある.
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© 2014 一般社団法人 日本糖尿病学会
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