糖尿病
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社会医学・医療経済学
組織横断的活動としての糖尿病ラウンド―全病院レベルでの糖尿病診療及び看護の質の向上のための取り組み―
山地 陽子板谷 美穂今井 健二郎山崎 有啓小川 晶子本田 みき子関根 信夫
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2015 年 58 巻 5 号 p. 309-316

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抄録

糖尿病非専門病棟における専門的・標準的な糖尿病診療の実践を目的として,当院では全病棟に対し定期的な専門チームラウンドを行っている.実際の介入内容では血糖測定の適正化(35.1 %),インスリン療法(34.6 %),経口薬(21.3 %)に関連するものが大部分を占めるが,医療安全に関わるものも5.1 %あった.活動の有効性を評価するため,ラウンド開始後1年及び5年時に看護師・医師を対象にアンケートを実施したところ,1年で既に病棟看護師の98 %にラウンドが認知され,5年後には患者診療に対する効果および糖尿病治療への関心・理解に関連する全項目において有意な向上が示された.医師においても5年時97 %が専門チームの介入を必要とし,90 %がその効果を実感していると回答した.本活動は専門チームが組織横断的に院内の糖尿病診療に介入するものであり,全病院レベルでの糖尿病診療・ケアの質向上に有用であると考えられた.

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© 2015 一般社団法人 日本糖尿病学会
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