糖尿病
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患者心理・行動科学
糖尿病否定的認知尺度(DNC尺度)を用いた糖尿病患者心理の研究
瀧井 正人内潟 安子岸本 淳司岡田 朗松本 雅裕森田 千尋波夛 伴和野崎 剛弘大澤 洋子須藤 信行
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2016 年 59 巻 1 号 p. 36-44

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抄録

糖尿病患者を1型2型,男女,年齢,治療法によりサブグループに分け,「糖尿病に関する否定的認知尺度」(本誌第56巻第8号)による比較を行った.1型患者で「生き甲斐のなさ」「疎外感」,2型患者で「糖尿病の重荷」「医療不信」「薬・インスリンへの抵抗」がより高値であった.1型2型とも女性患者で「糖尿病の重荷」「疎外感」がより高値であった.1型患者では高年齢群ほど「生き甲斐のなさ」「糖尿病の重荷」「薬・インスリンへの抵抗」「自己管理の圧力」が高値で,2型患者では最も若い群で「疎外感」が高値であった.2型患者では,薬剤なし⇒経口剤⇒インスリンと治療の負担が大きくなるほど「生き甲斐のなさ」「糖尿病の重荷」「医療不信」「疎外感」が高値になる一方,「薬・インスリンへの抵抗」はインスリン使用者で最低値であった.以上の所見を参考にし,糖尿病患者への対応をより適切にし,より望ましい治療結果を導くことが期待できる.

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© 2016 一般社団法人 日本糖尿病学会
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