糖尿病
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症例報告
血糖コントロールの高値に対する相対的なHbA1c低値から診断に至った異常ヘモグロビンD症の1例
保坂 利男永瀬 惟澤井 梓石飛 実紀石本 麻衣近藤 健小沼 裕寿炭谷 由計田中 利明西田 進近藤 琢磨石田 均
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2016 年 59 巻 6 号 p. 401-406

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抄録

HbA1cは,多くの施設で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法を用いた測定が使われている.HPLC法では,糖化異常ヘモグロビンは電気的変化でカラム溶出時間がHbA1cと違ってくるため,ほとんどの異常ヘモグロビン症例は血糖コントロールに比べHbA1c低値で発見される.今回,血糖値コントロール不良にもかかわらずHPLC法で測定したHbA1c値が低値と乖離を認めたアメリカ白人ハーフの1例を経験した.遺伝子解析の結果から,βグロビンのミスセンス変異のHb D-Los Angelesと診断した.異常HbD症は,以前は日本では存在しなかった稀な疾患であったが国際化により今後日本でも増えると推測される.該当糖尿病例では,HPLC法でHbA1cが偽性低値となる異常HbDの存在を念頭に置き,血糖コントロール,グリコアルブミン値なども含めて慎重に治療方針を評価する必要がある.

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© 2016 一般社団法人 日本糖尿病学会
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