2016 年 59 巻 9 号 p. 652-660
DAWN2™調査で示された日本の糖尿病患者508名,家族120名および医療従事者283名の治療に関する状況,特に心理的・社会的側面を,17ヵ国の患者8,596名,家族2,057名および医療従事者4,785名のグローバルデータと比較した.その結果,治療内容や患者の心理的状態については国ごとに様々であったが,患者・家族が自覚する日常生活への負担や,低血糖への不安が大きいことが示された.また,実施された医療行為の有無に関して,患者―医療従事者間の認識の相違が存在した.日本の患者が認識する長期の血糖コントロール指標の測定は徹底されていたが,足の診察,食事内容,患者自身の生活や心理的な状況を把握する医療行為への認識は低かった.日本の医療従事者は種々の糖尿病ケアの教育プログラムを希望しており,特に心理面へのケア,行動変容や自己管理のサポートは,受講経験が少ないものの,今後の受講意欲が高かった.