糖尿病
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症例報告
糖尿病ケトアシドーシスに特発性縦隔気腫を合併した2症例
鈴木 里佳子藤本 啓大村 有加井手 華子廣津 貴夫淺野 裕安藤 精貴坂本 敬子東條 克能宇都宮 一典
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2017 年 60 巻 11 号 p. 763-768

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抄録

糖尿病ケトアシドーシス(DKA)に特発性縦隔気腫を合併した2症例.症例1は20歳の男性.嘔吐後に呼吸苦が出現.聴診上Hamman徴候を認め,胸部単純X線と胸部CTで縦隔気腫と皮下気腫を認めた.随時血糖553 mg/dL,動脈血液ガス分析pH 7.044,血中総ケトン体8,340 μmol/LでDKAと診断.症例2は27歳の男性.口渇,多飲,嘔気と食思不振が出現.Hamman徴候を認めず,胸部CT上縦隔気腫を認めた.随時血糖1,268 mg/dL,動脈血液ガス分析pH 7.206,血中総ケトン体10,957 μmol/LとDKAを認めた.2症例ともいわゆるHamman症候群と診断.食道裂孔による縦隔気腫は縦隔炎で重篤な経過を辿ることが多いがHamman症候群は縦隔炎を来すことは稀で,適切な診断が重要である.

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© 2017 一般社団法人 日本糖尿病学会
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