糖尿病
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症例報告
HIV感染症治療中に1型糖尿病とバセドウ病を発症し免疫再構築症候群と考えられた1例
光井 絵理加藤 研安部倉 竹紗種田 灯子廣田 和之矢嶋 敬史郎渡邊 大上平 朝子白阪 琢磨瀧 秀樹
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2017 年 60 巻 4 号 p. 295-300

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抄録

症例は38歳,男性.31歳時にHIV感染症と診断され,抗HIV薬(以下HAARTと略す)が開始.開始時,耐糖能異常は認めなかった.HAART開始78ヶ月後,全身倦怠感を認めた為,当院受診.受診時,随時血糖643 mg/dL,HbA1c 9.8 %,尿ケトン1+を認め,入院となった.GAD抗体陽性,血中ケトン体の上昇,インスリン分泌能低下を認めた為,1型糖尿病と診断.また,fT4高値,TSH低値,TRAb陽性でありバセドウ病も同時に診断した.HAARTと自己免疫疾患発症の関連性を検討する為,保存血清を用いてGAD抗体,TRAbの抗体価を調べた所,HAART開始後,免疫機能の回復に伴いGAD抗体,TRAbが陽性化している事が判明し,免疫再構築症候群に伴う1型糖尿病及びバセドウ病と考えられた.HAART中に急激な血糖の悪化を認めた場合,1型糖尿病発症の可能性を考慮する事が重要であると考えられた.

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© 2017 一般社団法人 日本糖尿病学会
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