2017 年 60 巻 8 号 p. 524-531
強化インスリン療法中心の入院短期集中治療により,糖尿病性ケトアシドーシスを含む血糖コントロール不良状態(平均HbA1c 13 %)から正常型・境界型へ改善した2型糖尿病症例を解析した.治療後,経口血糖降下薬のみでコントロール良好となり,75 g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を施行した24症例を対象に,臨床経過と検査値を診療録から抽出した.OGTTで5例が正常型,13例が境界型を示し糖尿病型は6例であった.正常型・境界型への改善群においては,糖尿病型群に比し,新規診断例が多く,治療後のHOMA-β〔86.0(63.6)vs 59.6(25.2),p=0.02〕が有意に大きかった.入院短期集中治療による早期介入はβ細胞機能の改善に有効であり,正常型・境界型への耐糖能改善をもたらすことが示された.