2018 年 61 巻 5 号 p. 323-329
症例は26歳男性.2002年に自閉症スペクトラムのため内服開始するも改善せず,2010年より清涼飲料水を毎日6-12 L摂取していた.精神疾患治療薬の調整で飲水量は減少傾向だったが,2016年7月,体重減少から高血糖が判明し当院紹介となった.随時血糖377 mg/dL,HbA1c 16.9 %,尿中ケトン体陽性であり清涼飲料水ケトーシスの診断で入院,インスリン療法を開始した.退院後は清涼飲料水の多飲なく血糖値は正常化し,糖尿病薬は早期に離脱できたものの1日3 L程度の多飲は遷延した.後に中枢性尿崩症の合併が判明し,デスモプレシンにより飲水量の更なる減少を認めた.長期の多飲により抗利尿ホルモン分泌低下を来す病態が報告されている.特に清涼飲料水を多飲している症例において,多飲の適切な診断・治療は糖尿病の発症予防および改善に寄与する可能性があり重要と考えられた.