2018 年 61 巻 7 号 p. 477-485
島根県出雲市の保険薬局において,糖尿病患者の歯周病についての理解度を解析し歯科受診を啓発するためアンケート形式の糖尿病療養指導を行った.市内の16薬局が参加し有効回答が得られた516名のうち,糖尿病患者が歯周病になりやすいことを知っていると回答した患者は56.4 %であり,自覚症状がある患者は27.9 %,定期的に歯科受診をしている患者は31.2 %だった.主治医が専門医か否かおよび教育入院経験の有無で比較すると,知識面等には有意な差が見られたが,セルフケアの実践や歯科の定期受診では有意な差は見られなかった.療養指導後に新たに歯科受診をした患者は29名であり,改善率は8.2 %であった.地域に点在する保険薬局を主治医の専門性に関わらず療養指導を行うことのできる医療資源として活用し,他職種とも連携を図ることで積極的に医科歯科連携に参画し医療基盤の整備に貢献していきたい.