2019 年 62 巻 1 号 p. 17-23
80歳女性.X-5年に2型糖尿病と診断され,経口血糖降下薬で加療中であったが,肝機能障害のため当院に入院となった.AST 96 IU/L,ALT 134 IU/L,γ-GTP 823 IU/L,朝食前血糖204 mg/dL,HbA1c 8.3 %,朝食前血中C-ペプチド2.46 ng/mL,抗GAD抗体55.8 U/mL,IgG4 704 mg/dLであった.画像上胆管拡張を認めたが,膵腫大や膵管狭窄は認めず,肝生検にてIgG4陽性形質細胞を認め,IgG4関連硬化性胆管炎と診断し,ステロイド治療とインスリン治療を開始した.抗GAD抗体価は減少し,インスリン分泌能は改善傾向を示し,経口血糖降下薬で退院となった.IgG4関連疾患に抗GAD抗体陽性の糖尿病の合併は稀であり,症例を報告する.