2019 年 62 巻 3 号 p. 143-154
背景:高度肥満症に対する腹腔鏡下スリーブ状胃切除術(LSG)後の長期減量効果の維持には,栄養学的問題点に対する適切な介入が重要である.目的:LSG後の栄養管理上の問題点を明らかにする.方法:2型糖尿病合併高度肥満症6名(BMI 41.2±3.3 kg/m2)に対して,LSG前後に簡易型自記式食事歴法質問票による食事調査を実施した.結果:術後18ヶ月のエネルギー摂取量は術前より28.1±22.6 %減少し,超過体重減少率は75.1±26.8 %であった.全摂取エネルギーに対する3大栄養素の摂取比率では,たんぱく質は術後6,12ヶ月,脂質は術後6ヶ月で有意に増加し,炭水化物は術後6,12ヶ月で有意に減少した.食品では米・パン・麺類,油脂類,野菜類摂取量は術後に有意に減少していたが,菓子類は術前後で差を認めなかった.結語:LSG後の患者において術前の偏った嗜好が残存している可能性が示された.