2019 年 62 巻 3 号 p. 178-185
日本糖尿病理学療法学会員(4,680名)を対象に,糖尿病腎症(腎症)に対する理学療法士の関わりについて実態を調査した(回収率30.3 %).腎症に対して理学療法を行っていると回答した割合は39.4 %(当学会員の11.5 %)であった.腎症に関わりを持っていない理由は,医師からの処方が出ない,腎症の患者がいない,の回答が多かった.これまで腎症は運動が推奨されてこなかった背景もあるため,医師から運動療法の処方箋が少ない可能性が示唆された.また,腎症に関わりを持っている理学療法士のうち,糖尿病透析予防指導管理料にも参画していると回答した者はわずか24名であった.このうち2016年度に新設された運動指導による腎不全期患者指導加算も算定していると回答した者は7名であった.今回の結果より,透析予防のチーム医療に参画できる機会を増やすためには,腎症に対する理学療法のエビデンスを構築する必要があると考えられた.