糖尿病
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症例報告
潰瘍性大腸炎の発症を機に糖尿病ケトアシドーシスを来した自己免疫性多内分泌腺症候群3型の1例
松田 大輔阿部 咲子田近 武伸猪股 美結菅原 健高橋 佳之伊藤 満衣藤原 崇史奥山 慎粟崎 博
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2020 年 63 巻 11 号 p. 754-761

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抄録

症例は78歳女性.35歳時より2型糖尿病として治療していたが,72歳時GADAb陽性であり緩徐進行1型糖尿病と診断した.78歳時に食欲低下,下痢,嘔吐,意識低下し,pH 6.711,血糖1636 mg/dL,尿ケトン体(+)であり糖尿病ケトアシドーシスと診断して緊急入院した.TPOAb陽性,TgAb陽性,抗内因子抗体陽性であり自己免疫性多内分泌腺症候群(APS)3型と診断し,下部消化管内視鏡と組織診から潰瘍性大腸炎(UC)と診断した.UCと1型糖尿病(T1D)の合併は31例の報告があるのみであった.そのうち10例がAPS3型であった.本例はHLAの特徴を有し,APS3型を来しやすいとされるDR4陽性と,自己免疫性疾患の合併が多いとされるT1Dおよび高齢発症UCが多いとされるDR9陽性であった.T1DとUCの合併例は稀であると推測されるが,DKAのリスクに留意すべきと考える.

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© 2020 一般社団法人 日本糖尿病学会
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